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令和時代の学校施設スタンダード化実現を柱に、コロナ対策も

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施設特集

文科省が令和3年度の概算要求を公表

政府が一体になって進める長寿命化へのシフト
 約7割が老朽化している学校施設は、今後、計画的な保全・改修によって「長寿命化」を図りつつ、少人数授業や課題解決型学習など多様な学びのスタイルに応える高機能化を併せて整備していくことが求められている。また、災害時には地域の避難所を担う学校施設が9割を占めることから、安心安全のための防災機能の強化や、新型コロナ禍の感染症対策にも迅速に対応する必要も生まれている。
 そのため、文部科学省は各自治体が長寿命化のための計画・改修を速やかに実施できるよう補正予算で1千億円強、今年度予算で約4千億円を確保したほか、政府も学校施設の耐震化・防災機能強化に1千億円を計上して政策を推進。さらに、新型コロナで再び休業になった場合も学びを止めないために、オンライン授業を可能にする「GIGAスクール構想」の前倒しや、学校ごとに使える感染症対策の予算化を今年に入って決めている。

快適な学習・教育環境に向けて予算を拡充
 このような令和時代における学校施設のスタンダード化の実現が進められる中、文部科学省はこのほど令和3年度(2021年度)の概算要求を発表した。
 注目の公立学校施設の整備では、1295億円(前年度695億円)を要求。「新しい生活様式」も踏まえ、健やかに学習・生活できる環境の整備として、教室や給食施設の空調設置のほか、トイレの洋式化・乾式化、給食施設のドライシステム化や災害時への対応(都市ガス、プロパンガスの2WAY化)を。個別最適な学びを実現する施設環境の整備としては、バリアフリー化、特別支援学校の整備、1人1台端末環境への対応を。多様な学習活動に対応する施設環境の整備としては、施設の複合化・共有化と有効活用、オープンスペースや少人数学習に対応するための内部改修を、それぞれ推進する。
 また、国立大学・高専等施設の老朽化対策に820億円(前年度361億円)を要求。私立学校においても公立校に比べて耐震化が遅れていることから、補助制度を延長するとともに、私立幼稚園施設や認定こども園施設の耐震化費用も計上している。

長寿命化対策や防災機能強化は「事項要求」に期待
 さらに、災害・事故等から子どもの生命を守る、政府が進める国土強靭化に必要な計画的・効率的な長寿命化を図る老朽化対策や、体育館の空調設置、防災機能強化などの予算については、現段階で金額を明示しない「事項要求」としており、今後の具体的な施策の決定が待たれるところだ。
 一方、新型コロナの感染拡大を踏まえ、学校における感染症対策の充実として169億円を計上。保健衛生用品の購入費や校舎消毒作業に関わる費用の補助とともに、感染症対策の専門医等の派遣、学校等欠席者・感染症情報システムの充実、特別支援学校のスクールバスの増便等の支援を挙げるなど、ポストコロナの「新たな日常」の実現に向けた予算も拡充している。

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