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一刀両断 実践者の視点から【第15回】

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論説・コラム

教員採用試験の受験者を増やすには

 教員採用試験の実技が年々なくなりつつある。受験しやすいようにハードルを下げたというのだが、本当にそれで受験がしやすくなって優秀な教員を確保できるというのは何を根拠にしているのかまるっきり意味不明である。
 受験者を増やしたいなら、まず給与を上げる事である。さらに福利厚生を充実するなどの抜本的な待遇改善と、マスコミがかき立てる風評による被害を止めるべきである。
 そして、事務量を半分にし、定時退勤を徹底させる事である。こんな事は本気になれば簡単にできる。そこには手を出さず、ブラックブラックと苦労する姿や不祥事を報じるメディアを放置しているのだから、実技をなくそうが試験を簡単にしようが、賢い学生なら受験をしようとは思わないのが普通である。
 何故なら、私が今の社会状況なら教師は目指さなかったかもしれないからだ。
 教師志願者を減らしている要因を改善する方向がずれている。首長になりたいのは何故か、信念に加えて破格の給与が得られるからではないのか。教師の給与は今の倍にして、待遇も仕事内容も180度変えたなら、あっという間に志願者数は急増するだろう。議員になりたい人、教育委員になりたい人が減らない。待遇がよいからである。こんな分かりきったことを首長も教育長も我田引水でまるっきり改善しない。呆れてしまう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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