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一刀両断 実践者の視点から【第28回】

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論説・コラム

附属池田小の20年

 池田小の出来事は全国を震撼させた。不審者の校内侵入は池田小に限らない事であり、未遂事件は多く起きていた。しかし、まさかここまでと油断していたのである。
 この痛ましい出来事を受けて全国の至るところで防犯用のサスマタが配布された事を思い出す。暫くして竹刀の竹の方が使いやすいという記事も出された。確かに配布されてもサスマタを使いこなす技術を教師は持ってはいない。それが分かっていてもすぐ配布をして事を済ます体質が政治や行政にはある。すなわち現場主義ではないと言うことである。
 池田小は尊い代償の代わりに体制を整えたが、その危険性への対応や整備は自治体によってかなりの差がある。どこでも起こり得ることならば基準を設けて、安心安全を確保すべきではないのだろうか。
 施設は市町村の管轄になるが、相当な予算が伴う。それをするか、しないかは首長や住民の意識次第ではあるだろうが、我が子、我が孫が犠牲にならないとその危機感を行動に移せず、根拠のない安心安全神話が至るところに現存している。
 明日の池田小は、あなたの学校になる事はないのだろうか。油断は事が起きた瞬間から既に始まっている事を認識すべきである。ひとりも見捨てないと普段あなたは言ってはいないか。行動なきものは、嘘と何らかわりはないと指摘しておきたい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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