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一刀両断 実践者の視点から【第49回】

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論説・コラム

オリンピックと道徳

 オリンピック絡みで、倫理観の欠如が様々に指摘されている。それを擁護する輩もいるようだが、「何のためのオリンピックか?」を忘れている。物事には目標があるのであって、手段を目的にしてはならないのである。
 今回の音楽担当者の辞任について言えば、過去のいじめ告白がなかったら表沙汰にならずに事は過ぎていたと推測される。あまりに酷いいじめ犯罪の内容から、関係者は悪夢がよみがえった事だろう。この人物は、ある意味、過去の時効のない犯罪を吐露していた。それを反省からでなく、自慢話のように公に出していた。「反省ではなく高慢の極み」と言えるだろう。いくら才能や才覚があろうとも道徳心の不在を痛感させられる出来事である。
 歌は詩であり心であると私の世代は教わってきたが、こうした高慢な人格でも、いい歌が作れる能力があるのだから、慢心に惑わされない道徳心をしっかりと育んでいれば人生の軌道は狂わなかったのかもしれない。人生途中では決まらない。才覚でなく誠実に謝罪をするチャンスが与えられたのかもしれない。その厳しさは被害者の苦しみからしたら万分の一にも及ばないだろう。道徳素材として有効に活用したい事実でもある。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)
 

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