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一刀両断 実践者の視点から【第63回】

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エゴイズムの芽生え
 
 「メンタリスト」として知られるDaiGoが追及を受けている。この人物と似た思考をする学生がいた。「どうせ〇〇でしょ。だって変わらないでしょ」と、見下すようなニヤニヤしながら話をする。かなり異質に感じられるから周りからは距離を開けられていた。
 私にも「あなたにはついていけません」と、明言してきたのである。しかし、私は見放してはいない。この学生はそうした思考をしなければならなかった要因があるからである。
 よくあるのは、家族が高学歴で人間本来のあり方よりも、人を見下して生きることを幼いときから習慣として身につけてしまったというものである。
 この性分は、おいそれと変わるものでなく、極めて質が悪く修正が効きにくい。ある意味、歪にものを観る習慣があるために、その視点は、面白く興味をそそる場合がある。偏屈な思考を持つことで注目を浴びるからでもある。いたずらに財力と学力があるとバカにされず、信奉者を増やすことになるから困ったものである。
 こうしたエゴイズムはいつ頃から芽生えるのであろうか。「私の主人は学校医です。私の友人は県会議員です。親戚には弁護士がいます」と、畳み掛けるマシンガン保護者が居る。そのもとでは、こうした傾向の子どもが育ちやすい。
 私は争いを教委に止められても、徹底して慢心を打ち砕いて来た。親の姿が子どもに更なる悪影響を及ぼすからである。今回のメダル噛みやDaiGo発言に共通するのは、自分が教祖になり、自分を誠実に育てて頂いた方々、すなわち心の師を忘れ、自分が師になってしまったところが共通している。こうした輩はすべてを失わないと気付けないから困ったものである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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