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一刀両断 実践者の視点から【第65回】

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論説・コラム

市長への進言と処分

 大阪市で市長と教育長に進言した校長が処分された。これは見逃せない。すなわち、権力構造がはっきりしたと言える。校長が市長の意向で処分されたことになる。
 問題点を指摘した文書を拡散させた事により信用を失墜させたとしている。従えないのなら仕事を変えるべきではないかという趣旨の発言もあったという。この校長の主張が学校現場を預かるものとしての責任感から発したとすれば、処分でなく称賛されるべき行動である。
 私にも同様の経験がある。おかしな事を指摘して収まりがつかないと判断した市長から、履歴には傷が付かないから教育長からの処分を受けて欲しい、また、教頭に謝って欲しい、と言う話があった。教頭が教委や地元権力者と結託して、校長の公印を勝手に使ったことを厳しく指摘した結果である。
 納得はいかなかったが処分を受け、教頭にも不本意な謝罪をさせられた。このように理不尽な事は随所で起きていると思う。
 こちらはすっかり忘れていても、引け目があるのか、当時の市長は何かの会で顔を合わせる度に、向こうから必ず挨拶に来られる。しかし、当時の教育長や関係者は此方から近付くと、蜘蛛の子を散らすかのように消え失せるから面白い。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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