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一刀両断 実践者の視点から【第97回】

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いじめ認知件数の増減

 いじめ認知件数が公になった。このうち、佐賀県の小中学校での認知件数は4555件で、全国で最も少なかった前の年と比べて3420件増えたという。報道によると、佐賀県教委は調査方法を見直したためだというが、いじめを認知するためのアンケートが全国で行われて弄ばれているように感じられる。
 この数字をその後どのように扱うのだろうか。議会で質問しても明確な回答は得られないだろうし、それを想定して公表しているはずである。ならば何故この時に項目を変えて数字を跳ね上げたのだろうか。それにはいくつかの理由が考えられる。
 アンケートの項目でおおよその予想が立つ。昨年までの数はあまりに低く驚く程であったが、それが実態とはかけ離れていたからであろう。ここを議会で追及される前に揃えたとも考えられる。
 また、全国のアンケートは自治体によって項目や聞き方がバラバラであるのだから、元々目安にならない。こうして出された数字を論議しても根拠は薄く改善策は期待できない。
 ただ、その問題件数がどの程度解消されたかは見逃してはならない。この中にはかなりの課題解決のエキスが入っているはずである。数字遊びでは命は救えない。この一点を心して対処せねばならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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