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一刀両断 実践者の視点から【第108回】

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議員が無免許で交通事故、授業で扱うと

 無免許で交通事故を起こして書類送検され、辞職勧告を受けていた都議会議員が公の場に顔を見せ、大きく報道された。早速、一連の動きを授業で扱った。
 この後の予想を立て、道徳心について論議してみたところ、様々な視点からの意見が表出した。都議は辞めないだろうと考えるものも多く、今は耐えるしかないという者もいた。
 こうした事を未然に防ぐにはと問うたところ、小学校時代の道徳に行き着いたのである。しかし、今の道徳がその役を果たせるかと問うと、印象が弱いことも理解しており課題もあると話した。
 また、議員に与えられた特権についても仕方ないとする意見もあり、諦めのような考えも聴かれた。ただし、家族や親類、友人への影響は避けられないという懸念を多く感じていた。
 リコールの実現の難しさもあり、若者の選挙意識の低さもこうした事を正せない要因になっているという主張もあった。
 これだけ多方面から深掘りして、他人事にさせないように学ばせるのが私の手法である。そのなかで規範意識をどのように身に付けねばならないかと絞っていくのである。
 学生は、その時の考えが問われるので誤魔化しがきかないし、よく考えるし、ためになったと実感できる授業と評価をしてくれている。
 俯瞰する視点や発問によって展開が変わるが、あくまで人という観点を持ち、我が事と捉えるようにさせるのが面白味でもあり工夫せねばならないので、発問するこちら側の心情やスキルが試される事は間違いない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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