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一刀両断 実践者の視点から【第137回】

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論説・コラム

予算に価値観が見える

 攻めこそ最大の防御とは言われるが、これには場当たりや保身や私利の発想があっては出来ない。無駄と感じられても先手を打つ事である。
 コロナもいじめも想定される事であり、起きてから騒ぎ始める。さらには犠牲者が出ないと動かないという習性がある。ここには利他で先手を打つという発想がないのである。しかし、先行研究の医療や宇宙そして環境についても予算の付け方がその価値観として見えて来る。
 ハンガリーへ出向いた時、印象に残ったのは、人づくりすなわち教育に国が予算を掛けている事である。ホテルも住宅も道路も古く共産圏の粗雑さがあるが、教育に関しては皆が熱く語り、当然の事として最重要視している事が分かった。不自由さは承知でやっているのである。
 日本は、国が地方自治体に配当する教育予算も、一般財源となれば、道路関連の予算にもなってしまうのが現実である。これをしているのは首長であり、議員であり、それを見過ごしている市民である。
 先進国に数えられるのに、子どもの貧困が深刻な課題であり、青年の自殺も多い。その事実を変えきれない国に未来はあるのだろうか。容認しているのは私たち自身である事は間違いがない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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