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グリコードで探究する!チャレンジプログラミング(2)~小1から始められるプログラミング教材の活用~

14面記事

企画特集

1年生はペアで協力し合いながらチャレンジ

 小学校のプログラミング教育は、自分が意図する一連の活動を実現するためにはどうすればいいかを、論理的に考える力を育成することにある。こうした中、お菓子のポッキーを並べて、楽しみながら試行錯誤を繰り返すことで、プログラミング的思考を身に付けられる教材が「GLICODE(以下、グリコード)」だ。ここでは、前週に引き続き、実践校での活用を紹介。プログラミング教育の最初の一歩として導入する魅力を探った。
(制作協力・江崎グリコ株式会社)

小1・2年編
未来を生きる子どもに必要なスキルを
埼玉県・川越市立新宿小学校

キャラクターを用いて児童の興味を引く教諭
「グリコード」なら1年生からプログラミングが学べる(鈴谷大輔教諭)

プログラミングの最初の一歩に適した教材
日常的なICT活用を基盤に

 川越市立新宿小学校では、21年2月に1人1台端末を導入。「未来を生きる子どもに向けては、指導する側が抵抗感をもっていてはダメ」という横山敦子校長の考えのもと、日頃から積極的にICT活用を進めている。プログラミングについては、コロナ禍によって十分な実践ができているとはいえないが、教員それぞれが算数や理科、図工などの教科の中で工夫して取り入れている段階だ。
 今年4月に行われた「全国学力テスト」では、小学6年の算数でプログラミングを題材とした問題が初めて出題されるなど、小学校では必要に応じてプログラミングを授業で取り入れていくことがより一層求められている。また、それには低学年からプログラミング的思考に触れていくことが望まれるため、最初の一歩に適した教材が必要になっている。その意味からも、鈴谷大輔教諭による1・2年の「グリコード」を活用した授業に注目した。
 江崎グリコが開発した「グリコード」は、所定のルールに沿って並べたポッキーカードをカメラで読み取り、キャラクターを動かして女の子のもとまで導くプログラミング教材。「シーケンス(順番に実行)」「ループ(繰り返し)」「イフ(場合分け)」というプログラミングで必要とされる3つの基礎的な考え方を、一通り学ぶことができるのが特徴だ。
 授業は両学年とも「グリコード」の教師用キットにある4年生の「総合的な学習の時間」の学習指導案に沿って進められた。同校では、すべての学年で端末の持ち帰り学習を実施しており、休み時間には熱心にタイピング練習する児童を見られるなど、低学年でも端末との付き合い方や操作に手馴れている。
 ただし、今回はプログラミング授業が初めてということもあり、1年生は2人1台で挑戦することにした。その意図について聞くと、「お互いに助け合いながら進めるペアプログラミングにした方が、技能や知識の共有によりよい成果が出せると考えた」と語る。

2年生
意気揚々と励む熱気にあふれた教室に

ポッキーカードを使って命令をつくる

 2年生の授業は「プログラミングって何?どこにある?」という投げかけから、「プログラミングで動くもの」をワークシートに予想して書くところからスタート。その上で、動画を使ってプログラミングによって世の中が便利になっている例(ドローンや医療など)を紹介した。操作の説明では付属のマグネット教材を黒板に貼り、ポッキーカードの向きで“ハグハグ”の動く方向が決まることを指導してから、「シーケンス」の最初の問題を実演して見せた。
 次は、いよいよ子どもたち自身で挑戦する番だ。問題をクリアするごとに歓声を上げる子、黙々とステージを進める子、友達に教えてあげる子など、教室は意気揚々として励む子どもたちの姿であふれ返った。難易度が上がる「ループ」を学ぶ場面でも、「3枚でクリアできる裏技があるよ」と関心を引きながら、マグネット教材を使って丁寧に指導していたのが印象的だった。

カメラで読み取ってプログラムを起動(2年生)
ポッキーカードを使って命令をつくり、カメラで読み取ってプログラムを起動(2年生)

1年生
ペアプログラミングで思考を活性化

“繰り返す”命令を解説する教諭
ポッキーの枚数が足りないときはどうする?

 1年生からプログラミングは難しいのではないか。そんな懸念は「グリコード」を紹介したときに自然と沸き上がった、子どもたちの拍手で吹き飛ぶことになった。2人で1台を使った実践では、予想する場面から始まり、試す、作り直すといった過程の中で「こうじゃないか」「そうしてみたら」といった話し合いがあちこちで見られた。むしろ、言葉に発することで発見したり、自分との考え方の違いに気づいたりする子どもが多かったようだ。また、小1の体格では不安定な端末でのカメラ撮影も、もう1人が反対側から支えることで解決するなど、自分たちなりの工夫も取り入れるようになっていった。
 さらに難関な「ループ」の機能についても、電子黒板にステージの画面を提示。ポッキーカードを6枚並べても足りないことに気づかせてから、“繰り返す”命令をすることでずっと右に動く方法を教えると、「そういうことか」「なるほど」といった声が漏れた。そこから挑戦する児童の姿からは、“1年だから”といった壁は微塵も感じられなかった。
 授業のまとめとして書いたワークシートには、「おもしろかったけど、むずかしかった」「かんがえてべんきょうできた」といった文字が並んだ。それはトライ&エラーする中で、子どもたちがたくさんの思考を働かせていたことを感じさせるものだった。

子どもが意欲的に取り組める教材

 授業で「グリコード」を活用した感想について鈴谷教諭は、「ポッキーは誰でも知っているお菓子であり、ゲームで使用するキャラクターもかわいいこともあって、子どもたちが意欲的に取り組めるのがいい。とりわけ低学年は最初のつかみが弱いとそっぽを向いてしまう。導入部分の説明動画1つとっても楽しそうな雰囲気があって、子どもがやりたいと思える教材になっている」と指摘。その上で、指導の中身自体は難しくないので、端末操作に慣れている教員であれば低学年で「グリコード」を使って授業することに問題はない。家でもダウンロードし、本物のポッキーを使ってできるため、今日の授業の続きをやりたいと思った子どもは多いのではと話した。
 また、授業を見守った横山校長も「今の子どもなら1年生からプログラミングって何?という授業を始めてもいいし、その考え方を学ぶきっかけとしてグリコードはふさわしいと感じた。特に、ポッキーカードを実際に並べるアンプラグドな体験をしながらプログラミングできるのがよいところ。その点でも、プログラミングの初歩的な学習に適している」と評価した。

思いや願いの実現、自分との関わり、友達との協働性
齋藤 博伸 文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官

齋藤 博伸 文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官

 小学校低学年のプログラミング体験は、子どもの思いや願いを育み、主体性・協働性を発揮する学習活動とすることで資質・能力が育成される。そのためには、プログラミング教材との適切な出会いを工夫するとともに、好奇心や探究心、プログラミングへの興味などからやってくる「やってみたい」「できるようになりたい」といった子ども一人一人の思いや願いを実現する学習活動を展開していくようにする。
 今回の授業におけるプログラミング体験は、プログラム上のキャラクターに感情移入し、問題を見出して解決する一連の学習活動となっている。とりわけ一人一人の子どもが思考しやすい状況と同時に、伝え合い交流する必然性も生まれていた。例えば、ポッキーの向きとキャラクターの一つ一つの動きが関係していることに気付きやすいため、動きを予想しながらポッキーを並べる。そして、ポッキーの向きから動きを予想したことを、ICT端末の画面上のマップと関係付けて伝え合う。さらに、自分と友達のポッキーの並べ方を比べると、多様な方法で解決できそうなことに気付き、自分でも試してみようとする。
 このように、プログラミング体験を思いや願いの実現に向けて思考しやすい状況や、伝え合い交流する場を工夫した学習活動とすることは、子どもたちの探究する力を一層高めることにつながるだろう。

子どもの成長に寄与したい
川本 佳希 グリコード開発者(江崎グリコ株式会社経営企画部)

川本 佳希 グリコード開発者(江崎グリコ株式会社経営企画部)

 今年創立100周年を迎えた江崎グリコは、創業者・江崎利一の強い信念のもと「おいしさと健康」を実現するために多くの商品を創り続けてきました。だからこそ、「グリコード」の開発には、“子どものココロとカラダの健やかな成長に貢献したい”という願いが込められています。
 プログラミング的な思考というのは、日々の仕事の中でも有用な資質だと考えています。特に社会課題が複雑化する中では、分解し効率的に仕事を進めることが求められるようになっているからです。
 「グリコード」の良さは、何より楽しみながらプログラミング学習ができる点です。しかも、ポッキーを使うことで子ども受けがよく、授業での学習意欲向上に役立っているという声もいただいています。学校向けの「授業用コース」を用意し、指導案や教員キットもそろっていますので、ぜひ授業で活用してもらいたいですね。

「GLICODE(R)」ができること

 小学校低学年からプログラミングの考え方を身につけることで、論理的思考力や問題解決能力が育つと考えられています。
 創業以来、子どもたちの健やかな成長を願ってきた江崎グリコは、社会で求められる新しい教育の力になるため、おいしいおかしを食べながら楽しく学べるプログラミング教材「GLICODE(グリコード)」を開発しました。

 授業で使用できる教材がダウンロードできるようになりました!!
 ダウンロードページにて必要事項をご記入の上、ダウンロード・印刷・加工してご利用ください。

 「じゅぎょう用コース」では、プログラミングの授業をすぐ実施いただけるように、指導案や掲示資料の他に授業で使える動画コンテンツも用意しております。

 グリコードの詳細はこちら
 https://cp.glico.com/glicode/

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