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一刀両断 実践者の視点から【第396回】

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海外視察団仲間と集う
 
 29年続いている同窓会に出席するため、岐阜県の大垣へ出向いた。文部省海外教育事情視察団として全国から集められたメンバーの集まりである。約1ヶ月間寝食を共にしてヨーロッパから北米を回った。
 来年はいよいよ同窓会も30周年を迎える事になる。途中一年だけ実施できない年もあったが、コロナ禍の中でも継続出来た事を周りに話すと、前代未聞ではないかと多くの方に驚かれる。
 年に一度のこの同窓会が家族にも言い訳のつく国内旅行であり、楽しみにして集う事ができるらしい。もちろん、久しぶりに「会いたい」と思えるからである。
 帰国後、病気で早逝した方や家族に先立たれた方、また本人も闘病を経験された方と様々な人生のストーリーを学ばせて頂いている。
 話題になるのは最初に訪れた都市、ブダペストの出来事にいつも花が咲く。それ程までに印象深く残ったのである。こうした出会いが来年には時を経て30周年を迎える。
 残念な事にこうした取り組みがしばらくして財政事情から取りやめになってしまった。一方、遊び半分の国会議員や市長の高級海外旅行はバッシングされても、取りやめにはならない。政治が上で教育が下とは酷いものである。
 出来るだけ教員の海外視察は日本国の為に復活すべきである。何故なら教育の為に行政があり、政治があるからだ。この順番を間違えてはならない。
 現在、同窓の仲間たちの中には、農業を極めている者や学芸員や気象予報士に挑戦している者、さらには町会長や保護司の傍ら教員不足の為に講師として駆り出されている者、私立学校長や大学の教員と多岐に渡って活躍している。
 早逝した仲間達の分も健康に気をつけて可能な限り継続したいと思っている。来年は30周年を記念して第一回開催の地、私の住む千葉で開催する。その翌年は長崎、翌々年は奈良と決まった。
 但し最近の話題は薬の数や通院のエピソードなどに盛り上がってしまうやるせなさを、顔を見合わせては笑ってしまう。「健康だから集まれるんだよね」の一言に皆が頷いて、再会を約束し、それぞれの地へ去って行った。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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