高校改革、理系人材の育成強化掲げる 「グランドデザイン」骨子
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文科省は28日、高校教育の将来像を示す「高校教育改革のグランドデザイン(仮称)」の骨子を公表した。少子高齢化の深刻化や労働力不足が見込まれる2040年を視野に、AI時代に対応した学びへの転換、理系人材の育成強化、地域格差を超えた学びの確保の三つの視点から改革を進めるとしている。
骨子では、2040年には生産年齢人口の減少や地方の過疎化がさらに進み、理系人材やエッセンシャルワーカーの不足が顕在化する可能性があると指摘。高校教育を「未来の労働市場や地域経済を底上げする起点」などと位置付け、普通科と専門高校の教育内容や学校運営の見直しを促す。
改革の柱とした三つの視点のうち、第一の柱は「AIに代替されない能力や個性の伸長」。言語能力や問題解決力、協働する力の育成に加え、生徒の興味・関心を生かす探究的な学びを重視する。教育課程の柔軟化と、スクールミッションに基づく学校運営の推進、高校入試での多面的評価の導入などに取り組む。
第二の柱は「社会・経済を支える人材育成」。理系やデジタル分野への進路を後押しし、文理融合の学びや産業界との連携を強める。普通科に偏った学科構成の見直しや、専門高校の高度化も進める。
第三の柱は「多様なニーズに対応した教育機会の確保」。過疎地域での高校の維持や学びへのアクセス確保が課題となる中、学校間連携や遠隔授業を広げる。急増する通信制高校については、管理運営の適正化と教育の質向上を図る。また日本語指導が必要な生徒や不登校経験者など、多様な背景に応じた支援体制の充実も盛り込んだ。
グランドデザインの内容の実現に向け、文科省は令和9年度に「高校教育改革交付金(仮称)」を創設する。都道府県が策定する「高校教育改革実行計画」を財政面から支える。先行的に、理数系や地域課題の探究を先導する高校の創設を基金で後押しし、成果を地域の高校で共有する取り組みも始めるという。交付金の対象には専門高校の機能強化、普通化の特色化、学校規模の適正化や遠隔授業などの取り組みを挙げている。

