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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第17回】

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論説・コラム

教え子に囲まれて

 30年の時を過ぎて教え子達に囲まれた。40歳を越えて皆それらしくなっていた。今だから言える本当の事が次々に炸裂した。ドキッとしたり、爆笑したりと楽しい時を過ごした。
 この秋には学年で集まりたいので、他の先生方に声掛けをと依頼された。ふと、思い浮かべてみると、連絡のつかない者が意外と多い、さらに亡くなっている者もちらほらと。時は確実に過ぎていた。

 持ち手のないクラスを持たせてもらった経緯や、私の結婚式にサプライズで皆が来たときの事など、懐かしく話題が幾重にも広がった。
 人生も様々で、特に中高も行かずにバイトが面白く生きてきたAには驚いた。こんな生き方があるのかとその逞しさに勇気をもらった気がする。「道があるから歩くのではなく、歩くから道ができる」という姿であった。

 数人が、卒業の時に毛筆で書いた色紙を今も飾ってあるという話になった。それは子ども達全員に贈ったもので、すべて違う内容であったらしい。確か卒業式の前夜に一気に書いたと記憶している。
 振り返ると、その内容は今書いたとしても同じ内容になるような気がする。30年の時を越えて子等が親になり、逞しく生きてきた。人生途中じゃ決まらない。最後の最後は幸せであれと祈りながら、遠ざかる背に手を合わせた。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」