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東京・青ヶ島の学校から ~日本一人口の少ない村の学校での取り組み~【第15回】

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「ひんぎゃ」の地熱釜

自然を未来に引き継ぐ

 青ヶ島は、世界でもめずらしい二重式火山の島です。青ヶ島小学校は、その地形上の特性を活かした教育活動を「デイ・キャンプ」と銘打ち、小学校の一大イベントとして毎年1学期に行っています。青ヶ島の特性が溢れた、島ならではの教育活動により、島に誇りと愛着をもつ子供たちが育っていきます。
 5月21日(木)、3人の1年生を含む7人の小学生が、学校のある外輪山外から出発し、外輪山内のキャンプ場まで歩いていきました。途中には箱根駅伝を思わせる急峻な坂があり、約2時間かけて歩きました。
 到着後、内輪山(丸山)の周りの散策を1時間かけて行いました。周りの樹木は、南国特有のものもあり、ジャングルの中にいる気分になります。昼食は、活火山の蒸気(ひんぎゃ)を利用した地熱窯で薩摩芋などの野菜を蒸して食べました。
 午後は、青ヶ島で生産されているパッション・フルーツの受粉体験を行った後、学校に帰ってきました。子供たちは、青ヶ島特有の自然環境を満喫し、どの子も「楽しかった」という感想とともに、とても満足した様子でした。

 青ヶ島小学校は、今年度、ユネスコ・スクールに加盟申請しました。そして、今年度の校内研究のテーマを「ESD・SDGs」とし、青ヶ島の自然と伝統を活かした教育活動を研究していくこととしました。また、「SDGs」を児童・生徒が「興味を示し」「見て・触って」理解できるような掲示物をスクール・サポート・スタッフに作成してもらいました。
 スクール・サポート・スタッフとして勤務する青ヶ島在住の廣江七絵さんは「SDGsとは、何のことなのか最初はよくわかりませんでした。しかし、子供たちにわかるような掲示物にしようといろいろと工夫をしていくうちに、青ヶ島にとってとても重要なものではないかと考えるようになりました」と話してくれました。青ヶ島は、ESDを通じて、青ヶ島の将来を担う、持続可能な社会の創り手を育てていきます。
(木下和紀・青ヶ島小中学校 校長)

SDGsに関する掲示物

東京・青ヶ島の学校から~日本一人口の少ない村の学校での取り組み~