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コロナ時代に考えたい学校問題【第48回】

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戦後75年を迎えて

 戦争中に子どもだった世代が、高齢を迎えている。これまでの夏ではないほどに、死者の知らせが響いて聞こえるように感じられる。死が身近になっているようだ。
 戦後75年となると、当時は20歳の青年も95歳になる。いつにも増して戦争体験を語る方々が増えたようにも感じられる。それはこの新型コロナ騒ぎのお陰かも知れない。いい気になって、我が世の春と勘違いしている私達に、悲惨と感謝を考えさせる最後のチャンスとも感じられる。
 政治家が神社を訪れる事がニュースになり、ましてやそれを自負するようではパフォーマンスに過ぎない。戦没者達がその滑稽さを指差して笑うことだろう。真に戦争の悲惨を知るならば、人は誰が見ていようが見ていまいが、すべき事をすべきであって媚びへつらう必要はない。
 生き残ったことを恥じて、周りの遺族を考えたらとても戦争の話は出来なかったと、今年やっと特攻隊の生き残りであることを叔父は口にした。
 こうした心情を政治家は理解できているのだろうか。こうした輩の本質をしっかりと見定め、主権を行使できる青年を育てなければならない。しかし、それを真剣にやっている教育現場はどこに存在しているのだろうか。
 今20歳の青年たちの75年後は2095年である。どのような国に、どのような世界になっているだろうか。批判のために批判ではなく、未来へと繋ぐため、真摯にして確かな青年の育成をしなければ間に合わないと痛切に感じている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題