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GIGA元年 文科省StuDXチーム通信【第3回】

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ICT活用推進のカギは「安心して学び合い、チャレンジできること」

 GIGA StuDX(ギガ・スタディーエックス)推進チームの弓岡美菜と申します。現在は初等中等教育企画課地方教育行政係という部署にも所属し、地方教育行政や教育委員会制度などについても担当しています。

 4月にGIGA StuDX推進チーム(以下、「StuDXチーム」と表記)の活動が本格始動し、この「StuDXチーム通信」でも活動内容をご紹介してきました。今回は、埼玉県教育委員会と一緒に実施した市町村向け協議会の様子や、さらに進化したStuDXチームの取り組みについてお伝えします。

 5月21日に埼玉県教育委員会の主催で「市町村プロジェクトチーム協議会」がオンラインで開かれ、県内の62市町村教育委員会が参加しました。この協議会は、教員のICTスキルや指導力の向上を目指し、研修や実践事例の共有などの図るもので、StuDXチームからも板倉リーダーと松本専門官が参加しました。そこで、文部科学省、地方自治体が提供している研修教材やGIGAスクールサポーター、ICT支援員などの活用事例などを説明しながら「ICT活用の特性・強みを生かすことで、“主体的・対話的で深い学び”の実現に向けた授業改善や、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実が図られる」といったことをお話しました。

 協議会で特に印象的だったのは、会場の通信トラブルが起きた時のことです。埼玉県の指導主事は、トラブルにも慌てず焦らず、「こういうことも起きますよね」と落ち着いて参加者に語りかけておられました。ICTやオンラインの活用を行う上で、機器や通信のトラブルはつきものです。その時に担当者や授業者がどのような姿勢でいるかが、参加者や子供達の心理的な安心・安全につながるメッセージとなることを学ばせて頂きました。
 
 また、県の指導主事がファシリテーターとなって、StuDXチームのメンバーも参加した小グループの情報交換がありました。通信ネットワーク、OS、端末等の状況も考慮してグループ分けが行われたのですが、話しやすい雰囲気の中で、適切なテーマ設定の下、参加者が当事者意識をもって参加し、学び合っていることが伝わってきました。議論や意見交換が充実したものになるような工夫が随所に見られた場でした。

 StuDXチームは、全ての都道府県と市区町村の現場の悩み・課題・実情から優良事例や対応事例を整理し、希望する都道府県の教育委員会と共に、市町村担当者向けの協議会の開催に向けて連携しています。また、今後、人的ネットワークとして「情報交換プラットフォーム」を構築し、形式的な情報共有ではなく、教育委員会の担当者や教職員の方々がいま本当に困っていることや前に進むために必要な知恵を出し合い、共に進んでいく場を作っていきたいと考えています。
 
 さてStuDXチームの最近の取り組みも二つご紹介します。

 まず、特設ホームページ「StuDX Style(スタディーエックス スタイル)」では、「慣れる・つながる活用」に加えて、「各教科等での活用」の事例を掲載しました。授業のどの場面で使用し、ICTを使うことでどのような効果が期待されるのか、またどんなソフトや機能を活用しているのかなど、各教科等の事例がコンパクトに見やすくまとまっていますので、ぜひご覧頂き、ご活用頂ければと思います。

 次に「GIGA StuDXメールマガジン」の発行です。「StuDX Style」の更新のお知らせや全国の自治体の事例紹介、文部科学省からのGIGAスクール構想関係のお役立ち情報等を配信しています。
 教育委員会などの学校設置者や教職員の方々だけでなく、保護者や地域の方々、企業の方々など、こちらからどなたでも無料でご登録頂けますので、ぜひご覧ください。

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 最後に、私の担当している地方教育行政という分野では、これまで多くの場合、伝達が一方向でした。もちろん、そのような情報伝達が必要な場面は引き続きあると思います。しかし、GIGA スクール構想の下で、1人1台端末環境での教育・学習という未知の領域を切り拓いていくには、双方向かつフラットでスピード感のある対話や、「まず出来ることからやってみる」「他の実践を真似してみる」という試行錯誤を許容し、積み重ねる姿勢がとても重要であると感じています。
StuDXチームでは、教育委員会等の皆様から安心してご相談頂けるよう、チャレンジを歓迎し、伴走する姿勢で一層取り組んでまいります。引き続き、チームの活動に関心をもって頂ければ幸いです。

弓岡美菜(ゆみおか はるな)

GIGA StuDX推進チーム
 文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課専門官、地方教育行政係長
 2009年文部科学省入省。国際教育課係長、内閣官房教育再生実行会議担当室室員、大臣官房人事課法規係長、教育公務員係長、教育制度改革室義務教育改革係長等を経て現職

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