令和7年通常国会質疑から【第5回】
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国会では、法案審議の他に、議員の提示した課題に対して政府が見解を明らかにする質疑が行われている。今年6月に閉会した通常国会のうち、教育関係の一般質疑の模様を紹介していく。4月15日の参議院文教科学委員会では、薬剤過剰摂取問題に関連し、小学校の学習指導要領で薬剤に関する学習を扱うことについての質疑があった。
小学校での薬剤学習
本田顕子氏(自民) 私、薬剤師でありますので、今国会において大変、OTC医薬品というものが大変多く取り上げられております。薬の過量使用を防ぐための薬機法の一部改正案が今国会に提出され、審議中であることも関連しますが、私自身、この今の十代の若い人たちの薬の過量使用、これに大変な問題意識を持っておりまして、駄目という規制上の対応のみならず、正しい使い方、健康リテラシーを上げていくことが大切で、若いうちからの教育の重要性を感じております。
そのため、本日、まず、お薬を教育の観点から質問させていただきます。
OTC医薬品の過量使用について、私は昨年十二月四日の参議院本会議代表質問で触れたところではありますが、まず事実確認として、現在の小中高の学習指導要領において薬に関する教育はどのように扱われているか、政府参考人から御説明をお願いします。
スポーツ庁次長 現在の学習指導要領におきましては、小、中、高等学校を通じて、体育科、保健体育科を中心に薬物乱用防止に関する指導を行うことになってございます。その上で、中学校では、医薬品を正しく使用すること、高等学校では、医薬品は有効性や安全性が審査されており、販売には制限があることや、疾病からの回復や悪化の防止には医薬品を正しく使用することが有効であることについても学習が行われてございます。
なお、小学校体育科では医薬品の適正使用を指導内容として位置付けておりませんけれども、医薬品を医療目的以外で使用することも薬物乱用に当てはまるという考えに基づきまして、小学校で使用されている教科書には医薬品の乱用についても記載があり、指導も行われていると承知しているところでございます。
本田顕子氏 小学校指導要領、私も平成二十九年三月の告示の内容を見ましたところ、小学校の場合は、喫煙、飲酒、薬物乱用などの行為は健康を損なう原因があるということであったり、その乱用するということを六学年で指導するところには、薬物については、有機溶剤の心身への影響を中心に取り扱う、また覚醒剤について触れるということが書いてあります。
こうした薬物乱用のところの授業というのは、厚生労働省や警察庁などの厳格な取締りや広報啓発も加わって、だんだん定着はしてきていると思いますけれども、今、有機溶剤ですね、そうしたシンナーとかではなくて、だんだん大麻に移り、そしてOTC医薬品というふうに移動が始まっております。
その中で、OTC医薬品というのは、家庭内の常備薬として健康保持や体調の一時的な改善には有用ですけれども、これがまさに悩める若年層にとってむしろ現代社会は手が届きやすい、そして、なおネット経由での様々な情報の影響を受けながら不適正な過量使用に陥っている現状であります。大麻などの使用にもつながるといったようなゲートウエードラッグになっているという指摘もあるわけです。
その中で、規制は薬機法改正で行いますけれども、こうした社会的要因を、解消や相談などに寄り添う体制づくりも必要ですが、薬物乱用、そろそろ小学校のこの内容をやはりアップデートして、現代社会の問題意識もちゃんと含んだ、そういうところの薬の適正使用、これが初等教育において必要になってきている、もうこういう時代になってきているのではないかと私は考えております。
そこで、OTC医薬品の過量使用による健康被害の報告は増え続けている現状に対処する一環として、小学校低学年から外部講師もこうした活用をしやすいようなためには、やはりこの小学校の学習指導要領に薬の適正使用を加えるべきではないかと考えますが、あべ文部科学大臣に伺います。
文科相 本当に、小学校の子供たちにもこういう薬の適正使用をしっかりと指導していくことは、まさに重要だというふうに考えております。
現在、小学校におきましては、学校薬剤師の外部講師を活用させていただきながら、薬物の乱用防止に関する教育が行われているところでございまして、また、小学校で使用されている教科書におきましてもこの医薬品の乱用についての記載もございまして、この指導が行われているところでございます。
学習指導要領の改訂につきましても、現在、中央教育審議会において専門的かつ総合的な議論をいただいているところでございますが、子供たちの健康について正しく理解をし、適切な行動を取ることができるよう、しっかりと検討してまいります。
本田顕子氏 ただ、小学校の中では、五年生から六年生がそうした適正教育でありまして、でも、非常に子供たちにとって今お薬は身近であります。だから、基本的なお薬は決められた用法、用量を守る。それは、病院とかに行った経験がある子たちはありますけれども、そういうことがない子たちはむしろどうお薬というものを取り扱ったらいいかというのが分からないので、やっぱりもう少し、小学校低学年というのをちょっと私は問題意識として持っておりますので、引き続きのそうした検討もお願いができればと思います。