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生徒指導~小学校段階での考え方~【第151回】

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崩壊学級の6年生を特別養護老人施設に

 振る舞いに現れる心の姿がある。生徒指導はこの点が分かりやすい。以前、職員室で教師は座り、生徒を立たせて長々と自分が満足するまで説教をする光景がよく見られたし、されもした。
 それが権威ととらえた教師が多くいたのだろう。その仕返しに何も悪くない窓ガラスが次々に割られた。やったことは必ず返って来るものだ。

 基本は同じ目線で話を聞き、話すことである。これがなかなか出来ない。
 生きた道徳と称して特別養護老人施設に学級崩壊状態にある6年生を連れ出したことがある。高齢者との交流の時に2つ指示を出した。「目線を合わせるために膝をつく」「やさしく手を握ってゆっくり話す」である。するとクラス一の寡黙な子どもが、施設内で最も認知能力が衰えた高齢者と一対一になった。それは感動へと繋がった。

 入所以来5年間一言も発しなかった方が手を握り「ありがとう」と、何度も何度も子どもに自ら話し始めたのである。所員も驚き、涙した。
 人事管理で国の機関を訪れた時に、目下の職員や下部組織の者を長々と立たせるキャリア職員が目についた。醜かった。これをすまいと、その後、どんな方にも必ず座ってもらい、同じ目線で話をすることが習慣となった。それは相手が子どもであっても変わることはない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~