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生徒指導~小学校段階での考え方~【第220回】

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「引き出す」への転換

 「教える」か、「引き出す」か。どちらに軸足を置くかで、かなり結果は変わってくる。私は教師人生の前半が「教える」で、後半は「引き出す」になった。そのきっかけは、自分の子どもが部活で教師から浴びた暴言が原因であった。

 「引き出す」には、「工夫」と「忍耐」と「専門性」と「ゆとり」と「ユーモア」がなければならない。そうでないと、継続は難しい。生徒指導も本来は「引き出す」にある。指導は、どうしても「教える」というイメージが強く、即効性からするとそれも必要ではあるが、納得して継続させるには、内面に崩れない砦を作る必要がある。それにはかなりの「洞察力」と「場選び」「言葉選び」が求められる。

 ある意味、そのように育てられて来なかった私達には、かなりの自己鍛練が必要になる。私の場合、根拠のない誹謗中傷があったからこそ、引き出す事への忍耐力や心構えが醸成されたと感じている。こうした体験や試練を通してこそ「引き出す手法」が納得をもって体得できるのかもしれない。
 このように、相手を慈しみ、尊ぶ姿勢が出来るなら、すべてが学びへとつながっていく。何事も意味のないことはない。そう捉えた瞬間に意味を持つ。現代の諸課題の大半は、自ずと解決すると私は思う。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~