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生徒指導~小学校段階での考え方~【第216回】

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「チーム学校」にならぬ背景に「豊かさ」

 若年層の指導に苦慮している管理職は多い。プライベートや個人情報保護が強調されているために、生活状況も用意に聞き出せないからである。結婚が予定されていても報告がないとか、病気になっていても報告がないという事さえあると言う。職員会議で寝ている職員を注意すると、皆の前で注意をさせた。パワハラだと教委へ申し出た2年目教師には驚いた。

 こうした若手の指導や育成をどのように図ればよいのか迷う事になる。
 そのポイントは

 ・よく話を聞く事に尽きる。その際に指導はせずに聞き役に徹する。
 ・悩み相談が来たら、すぐに答えを言わずに、貴方は何に、どうして困っているかを整理する。
 ・私の所へ来る前に誰かに相談はしたのかと状況を把握する。
 ・次に、本当は自分はどうしたいのか、どうしてもらいたいのかの本音を聞き出す。
 ・厳しい事も話した方がいいかなと、打診し確認する。
 ・最後に、私の話に納得がいかなかったらこれからどうする。
 ・話はよくわかったよ。私も整理をするから、次回はいつにすると、性急な回答はしない。

 こうした、カウンセリングのような対応を私はしてきた。ここには指導をするとか、寄り添うとかではなく、同苦するという表現が適切で、我が事にして考えるこちら側の度量が求められる。ここで気を付けたいのは、しめたと勘違いして恩着せや期待をすると、糸が簡単に切れる事になる。すなわちこの段階ではこちらのペースにはなっていないからである。

 若手とベテランの思考がズレて、チーム学校になれないという切実な相談をよく受ける。要因は「依存」や「期待」や「思い込み」という視点で見ると整理しやすくなる。豊かさは他へ依存する傾向を強める。また、それは勝手な期待を膨らませる事になる。さらにそれは思い込みへと発展し、やってもらって当たり前なのに、何でやってくれないのか?と責任を転嫁する大人になる。

 背景には、「ものの豊かさ」があると私は感じる。「ものの豊かさ」ゆえの「心の貧弱さ」となっているように思えてならない。この現代病をどう改善すればよいのか。
 私は同じ課題意識を持つことにあると考える。具体的には、日々繰り返される事件事故を題材にして、教育の視点で、立場を変えて考える訓練が極めて有効である。それは総合的な学習の時間や生徒指導にも繋がり、他者理解を促進する。

 この「他者理解の訓練」こそが、相手が誰であれ、共存共栄のベースとなる。そして適度な「距離感」と「節度」を持って、「ひとりの人格」として対応する事が求められる。
 距離感があるから是々非々に「指導」や「意見」も効果を発揮する。「思い込み」や「依存」や「期待」は些細なトラブルで簡単に崩壊する。そのスタートは、こちらからの「少しトーンを上げた挨拶の声」で、つまらぬわだかまりを打ち破る事から始めればよい。見返りを求めないから爽やかに伝わる。

(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~