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生徒指導~小学校段階での考え方~【第219回】

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是々非々で接する

 勤務校の歴代校長の1人に加瀬完氏がいた。国政も経験され、亡くなられる数ヶ月前に来校されて児童に講話をされた。その際に付き添いを任された。
 「君の趣味はなんだね」と聞かれた。「本職も趣味も教育です」と答えた。「面白い、若いときに会いたかったな。若いときには生意気ぐらいがいいんだ。子どもは未来だからな。頼むよ」と笑みを返された。これが最初で最後の会話となった。

 翌年、奥様をお呼びした。この時も付き添いをさせて頂いた。前年のエピソードを御伝えしながら歩いていると、奥様は「長生きの秘訣はね。粗食と好奇心よ」といたずらっぽい目で話された。この奥様ありて、加瀬先生なんだなと納得した。さらに「教育は好奇心よ。停滞はないのよ」と、鋭い視線で話された。あれから30年、今でもその時の様子は鮮明である。

 それがきっかけで、如何なる著名な方にお会いしても、ひとりの人として接するようになった。これまでも肩書きに敬意は示すが、へりくだる事は逆に相手に失礼と感じ、是々非々で接して来た。
 それは子どもに対しても同じで、見下さず、同じ目線で真摯に接する事を心掛けてきた。ここに生徒指導を行う際の「基本となる構え」ができる。その姿勢に撤するなかで、常に謙虚にして、ぶれない魅力が体得できる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~