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教師の学び方

14面記事

書評

澤井 陽介 著
子どもの実態や授業の本質と正対

 いつも授業者は、20歳代の教師。こうした地域教育研究会があった。中年以上の教師は、若年寄か御老女役で参観者である。これで教師の“学び”を、高めることはできるか。是正を求めて状況改善に約10年を要した。教師の“学び”には、地域差・学校差・個人差があると評者はにらんでいる。
 本書は、その“教師の学び”を真正面から取り上げる。3章構成で、第1章が「子供の実態から『学ぶ』」である。「子供はなかなか課題をつかめない」「日本の子供たちに馴染む対話」「小中連携で子供の学び方をつなぐ」など、実例に則しての著述である。
 そして第2章が、「授業の本質から『学ぶ』」となる。ここでは、“クエスチョンの研究”に目を向けたい。アンサー中心の授業論を見直すことの提言は貴重。授業を見直すことも、教師の“学び方”に必要だから…。
 「研究を通して学びを『深める』」が第3章である。教師が学びを“深める”と書かれていることに注目だ。「校内研究の実際」(167ページ以下)に授業研究の現実があるのだろう。研究主任層の活動と苦労は、分かり合っていく要があるから。
 著者(国士舘大学教授)は、小学校教諭、指導主事、教科調査官、視学官の経歴を有する人。学びは自らの決心次第と評者は思う。
(2200円 東洋館出版社)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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