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コロナ時代に考えたい学校問題【第59回】

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元上司から届いたお中元

 突然に、元上司の80歳を過ぎたであろう方から、何故かお中元が届いた。当時は教頭をお務めであった。「いろいろ御迷惑をお掛けしてすいません」という内容の手紙が入っていた。何も思い当たる事がなかったので、御礼方々電話をしてお聞きしてみた。

 すると、校長が当時、生意気で若造の私を「教務主任に」と年度末人事で提案したらしいのだが、自分も含め上席の反対が多く、別の方にした経緯を話し出したのである。そんな事が確かにあった。しかし、その後もずっと思われていたとは考えてもみなかった。
 その時、教務主任になられた一歳上の先輩は、志望度も高い方だったので、意気揚々と務め、上司へのご機嫌を取るために徐々に人望を失い、志半ばで早世された。本来の姿ではなかったからであろう。私へのライバル心はハッキリしていたが、嫌みはなく分かりやすかった。私はお陰さまで慢心もほどほどに今の状況を得ている。
 このお中元には、そうした思いが含まれていたのだ。人生途中では決まらないし、他と比較して一喜一憂する愚かさを私は早世された先輩から学ばせて頂いたのである。された方は忘れていたが、仕方なくした方は忘れられないものなのだろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題