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20世紀のグローバル・ヒストリー 大人のための現代史入門

13面記事

書評

北村 厚 著
国超え連鎖する世界を捉える

 改めて知識、情報を得ることと読書の大切さ、重要性を確信した。読書人口の減少傾向が国家的危機の兆候とさえ思わされた一書だ。グローバルとは、「全世界的、地球的」と解してよいだろう。著者は言う。「グローバル化した現代において必要なのは、各国史の個別の知識だけではなく、それらを結びつけるグローバル・ヒストリーの視点である」「各国史の束としての世界史を乗り越え、世界を一つのものとする世界史を構築しようとする視点(が必要)である」―と。
 本書は、そのような視点に立って「学び直し」の必要を感じた人に向けた「入門書」であり、高校の新科目「歴史総合」を見据えた内容でもある、とも述べている。
 評者は、最も実感を持って読めると思われた「第5章 世界の破滅、終わらない戦争―一九四○年代」から読み始めた。

 1.膨張する戦場
 2.枢軸国によるジェノサイドと抑圧
 3.連合国によるジェノサイドと破壊
 4.敗戦国の崩壊と人口移動
 5.大戦後もつづく戦争
 6.宗教対立と難民―パレスチナとインド

 全50ページに及ぶ1940年代の10年間のグローバル・ヒストリーである。読後、暗然たる思いに沈んだ。「人類が繰り返し経験する、あまりにも悲惨な出来事に目をそむけたくなることもあるのではないだろうか。しかしぜひ読み進めてほしい」と著者は訴える。
 日本という視点からの歴史観だけでは見えてこない視界が開かれた思いを深くした。
(3080円 ミネルヴァ書房)
(野口 芳宏・植草学園大学名誉教授)

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