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一刀両断 実践者の視点から【第284回】 

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残業代訴訟、最高裁の判断に思う

 《公立小教員の残業代訴訟、上告棄却 原告の教員「無賃残業を世の中に知って頂いた」》(弁護士ドットコムニュース)という見出しの記事が目を引いた。この裁判で原告の主張が認められたら、県側には、相当な支出が必要になっただろう。棄却という結果は想定できた。
 ただし、残業をしないで済むように何故しないのかが気になる。業務を精査して定時退勤を進める事である。この判断と整理分析ができにくいのが学校とも言える。
 学校運営方針の最初に「残業をなくす」を掲げて取り組んではいかがだろうか。実現するには、仕事の価値判断や経営重点との関係があるので、削ぎ落としは校長決裁にして、その報告を教委へあげるようにしてはいかがだろうか。
 議員からの質問に応じる為に調査などが求められるが、性急には対処しかねると断る権限が学校長に与えられていない事にも問題がある。
 何よりも担任の仕事や校務分担の仕事などはやらないよりもやった方がいいという心情から、知らぬ間に増えていたり増やしてしまう仕事が多く存在する。ここは割り切らないと削減は出来ない。
 運動会や卒業式などの練習をしないで、すべて日常の授業に組み込んで本番を迎えた事があった。それでもそれなりの成果を得る事ができたのである。もちろん完成度は比較にならないが、やれば出来るのである。また、これでよしとする事で確実に余裕が生まれる。
 こうした改革を進めて日頃の授業の中で済ませてしまう工夫をして、ブラックをグレーに、そしてホワイトへと変えては如何だろうか。私に出来たのだから、皆さんの学校でも出来るはずである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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