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一刀両断 実践者の視点から【第297回】

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力量ある教員と保護者からのクレーム

 名門とされる私立小学校で、保護者からのクレームにより、人気があった教員が退職したという。保護者説明会で理事長には怒号が飛んだとの報道がある。このような事態は、他の学校でも起こり得る。
 私が赴任した学校で前任の校長から、「この先生は問題教師で困っているんです」と引き継ぎを受けた事があった。この教員には、崩壊したクラスを見事に相互信頼の安定したクラスに仕上げる力があった。確かに是々非々なので厳しい指摘もされるがそれも慈愛からの言動であったからこそ、厳しく叱責されても最後は感謝する親は多くいた。しかし、そうでない親は担任交代を訴えていた。このどちらを取るかの判断になるが、もちろん私は噂やクレームに振り回されはしなかった。
 さらにこんな事もあった。研究校の授業指導を頼まれて公開研究の前日に連絡が来た。研究主任の先生が突然休職に入ったと言う。その事情は、乱れたクラスを立て直していたその先生に、ある保護者が腹を立て、県議を使って担任交代を県の指導課に申し出たのである。
 するとその指導主事は真に受けて、公開講師の私に問い合わせて来た。担任を変えるようにと県議と来るのですがどんな先生ですかと尋ねられた。私は見ているので、それは事実と異なりその親と県議がおかしいので相手にしないで欲しいと伝えた。
 するとその指導主事は私では話にならないと上役に話を伝えて即日休職に追い込んだ。担任を変えろといった声が上がるとは、よほどのことだという固定観念で判断した。やがて休職とされた教師は退職した。大変な損失となった。
 問題は権力への服従と保身と決めつけである。その結果、多くの財産を失ってしまう。この指導主事はその後管理者になったが、間違った判断を重ねている。その父親は剛腕の元教育長だったと聞かされた。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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