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子どもたちへの心理支援 学校と外部支援者の連携サポート・ガイドブック

18面記事

書評

熊谷 恵子 監修 三井 菜摘 著
「心理士」との効果的な協働

 さまざまな子どもの育ちに対応するため、「チーム学校」として多職種の専門家が学校に関わるようになった。本書は外部の専門家が支援を円滑に進めるための学校、教職員の役割を理解するためのガイドであり、一方で子どもを支援する外部の専門家と連携をどう図れば効果的なのかを教職員に理解してもらうための解説書にもなっている。
 教育に関わる機関だけでなく、医療機関・主治医や療育機関、児童相談所・家庭児童相談室などを含め、広範に専門機関、専門職の仕事や役割を紹介しつつ、「連携のポイント」を具体的に示しており、連携、協働の必要が生じている教職員にとっては有用だ。
 また、本書のもう一つの特色は、スクールカウンセラー、巡回相談心理士、巡回相談員、特別指導アドバイザーなどの呼称で関わる「心理士」に焦点を当て、「心理士のケースフォーミュレーションを知る」(第4章)や「問題解決につながるカンファレンス」(第5章)、「連携のためのお役立ち支援ケース集」(第6章)、座談会「学校現場で心理士の力を最大限活用するには?」を収め、心理士の子どもへの向き合い方や「見取り」方、チームとしての円滑な支援の在り方などを理解できる。
 文中、関係者に対して「労う」という言葉が目立つのが印象的だ。職や身分は異なっても、互いの立場をリスペクトする気持ちの大切さが伝わってくる。
(2090円 東京書籍)
(矢)

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