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一刀両断 実践者の視点から【第690回】

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不祥事の温床
 
 児童を盗撮し、それを教師仲間で共有していたという報道には、正直、ここまで堕ちてしまったのかと感じた。世間の怒りは当然であり、到底許される行為ではない。再発防止のために、指導や対策が進められていることも理解できる。
 しかし、それらはあくまで対症療法に過ぎず、本質的な解決にはつながらない。問題は、予防の前段階にある「素地」をどう育てるかという視点が欠けていることだ。教員養成の段階で、倫理観や責任感といった資質をしっかり鍛える教育がなければ、こうした不祥事を防ぐことはできない。
 現在の教職課程には、そうした資質を育む仕組みがほとんど存在していない。仮に存在していたとしても、それを指導できる人材が不足しているのが実情だ。本来なら、この資質の鍛錬こそが最優先で取り組まれるべきであり、そこに焦点を当てた抜本的な改革が求められている。
 それにもかかわらず、議論はいつも枝葉にすり替えられ、本質には踏み込まない。この構造こそが、不祥事の温床になっているのではないかと、強く疑問に感じている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)

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