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一刀両断 実践者の視点から【第707回】

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論説・コラム

デジタル教科書への疑問

 文科省はデジタル教科書の利用をさせたい考えのようであるが、違和感を抱いている。小学校教育に英語を導入したことで、塾や企業の仕事も生まれた。莫大な利益を得た事業者がいたかもしれない。
 日本では塾が多く生まれ、結果として、経済力により学力の格差が広がる。
 私の従姉妹はアトピー性皮膚炎を抱えながら塾に通うことなく難関大学から弁護士となり米国で働いている。その努力たるや経済的にも並みではなかった。
 こうした能力は多くの子ども達が潜在的に持っているはずである。それを発揮できないのは、どこに問題があるのだろうか。
 教師は必死に莫大な内容を教えねばならない。その疲弊は年々顕著になっている。
 デジタル教科書の有益性は分かるが、学校現場で使いこなせるだろうか。学校現場目線で論議する必要性を感じる。
 デジタル教科書の導入により、児童・生徒の理解や興味を高めるとしながらも、背景には経済的効果への期待があるように感じられる。
 デジタル教科書につぎ込む公費は、教師の人件費に回すべきではないだろうか。ものよりも手段よりも人に視点を置くべきではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)

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