日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

「愛と知の循環」としての保育 世界を愛することを学ぶ

15面記事

書評

無藤 隆 著
歴史、原点から理論的視座示す

 当初は「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」などの解説を企図していたが、「過去二○○年と同時に、日本の一○○年以上の歴史、さらにこの四○年近く」の保育実践の発展、理論としての展開を視野に「新たな理論的な視座」を提供し、次世代にバトンを渡したいと、わが国の幼児教育・保育理論をリードしてきた著者の集大成ともいえる書になった。
 「世界を愛することを世界から愛される経験を通して学ぶこと」「『知』としての気付きと思考、そして『愛』としての心情・意欲・態度から発する学びに向かう力」を長い時間をかけて育む「過程」として乳幼児期があり、それを促すのが幼児教育・保育、保育者の専門性であることが了解されて初めて、要領・指針にある「5領域」や「10の姿」の意味、意義がのみ込めていくのではないか。
 こうした営みは学校教育の基盤を作るだけでなく、人としての根幹を形作る。幼児教育・保育の重要性が強調されるゆえんである。
 幼児教育・保育を「考える前提を可視化」し、「原点」「基本」を示し、「捉える考え方を根底から考え直す」、そして「愛と知の循環」から「保育を考える」ことを三部25章(序章、終章を含む)で展開する。子どもの権利、保育者の「主体的なあり方」など多くの章で心に響き、思考を揺さぶる金言、箴言に出合う。
 幼児教育・保育に関わる全ての方、その後に続く学校関係者の方にぜひ勧めたい。
(3300円 北大路書房)
(矢)

書評

連載