「考える教室」をつくる 授業はここまで変えられる
25面記事
ピーター・リリヤドール 著 梅木 卓也 監訳 有澤 和歌子 監修
14要素に分け効果的な方法示す
2024年9月23日の本欄で紹介した『答えのない教室』(梅木卓也・有澤和歌子著)の、いわば原典である。著者は数学教育学の教授で、原題は“Building Thinking Classrooms in Mathematics”だが、「考える生徒を増やし、生徒が考える時間を増やす」実践方法を追究する姿勢は、当然、数学以外の教科にも通じる。それを「経験と勘」ではなく、観察や検証を通じ、14の要素について「思考を促すための最適な実践」を抽出、提示している。
例えば、どのような課題を使用するか、グループづくりの方法、机や椅子の配置、質問への答え方、生徒の自主性を育む方法、ノートの取り方などから、宿題の再定義(演習ではなく「自分の理解を確認するための問題」にする)、評価方法や成績の付け方などにも及ぶ。
生徒たちが教科書やワークブックの問題を「授業中の例やノートを真似て答えるもの」と見てしまいがちなことや、解法を見ることを「学習」と思い、写したノートに書いてあることが「知識」だと勘違いしがちだといった指摘は、現場でも「薄々感じてはいたが…」という耳の痛い話ではないだろうか。
教師なら誰もが「考える教室」を目指したいと思う。本書は「実証」を元にその大きなヒントを示す貴重なものだ。こうした研究の成果なども参考にしながら、ぜひ、より良いやり方を模索し続けてほしい。
(4950円 新評論)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)
