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LGBTと女子大学

14面記事

書評

誰もが自分らしく輝ける大学を目指して
日本女子大学人間社会学部LGBT研究会 編
当事者の経験、支援の現状も

 LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を取ったものである。私たち人間の性的指向(好きになる性)や性自認(こころの性)は、個々人によって異なっている。セクシュアル・マジョリティ(異性愛、身体的性と心理的性が同一)が多数である一方で、LGBTのようなセクシュアル・マイノリティの当事者も一定の割合を占めている。
 本書は、日本女子大学が開催したシンポジウムの記録であり、前半では、2人のトランスジェンダー当事者が自らの経験を語っている。一人は、日本女子大学附属小・中・高校と早稲田大学で学び、フェンシング元女子日本代表として活躍し、現在は男性として、LGBTが気兼ねなく集えるカフェを経営している当事者である。もう一人は、男性として新卒で入った会社でカミングアウトして、現在は同じ会社で女性として働いている当事者である。後半では、2人の研究者から、国際基督教大学とアメリカの女子大学におけるトランスジェンダー学生支援のたどってきた歴史と現状や今後の課題が報告されている。
 セクシュアル・マイノリティ当事者の人権擁護の観点に立った施策の重要性は論を待たないが、実効性ある支援を展開するためには、周囲にいるセクシュアル・マジョリティの意識変革が不可決であることを本書は示している。
(1080円 学文社)
(都筑 学・中央大学教授)

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