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17音の青春2018

14面記事

書評

五七五で綴る高校生のメッセージ
神奈川大学広報委員会 編
1万句から選ばれた作品集

 唐突だが「今時の高校生は~」と問われたら、読者諸賢は何と続けるだろうか。一般的には、「生意気だ、スマホに夢中、自分勝手だ」等々、ネガティブな反応が多かろう。しかし、本書を手にしたら一変する。「感性豊かだな、観察力がすごい、言語感覚が研ぎ澄まされている」等に変化することは請け合いだ。
 本書は、高校生の句集である。神奈川大学が、20年前から続けている全国高校生俳句大賞の入選作品集なのだ。
 今、俳句や短歌がブームでもある。市の広報誌等でもこれらを学ぶ教室の案内が掲載され、結構なにぎわいを見せている。テレビの俳句番組は辛口の批評で人気が高い。そんな中で、編者である大学は地道な取り組みを続け、高校生たちの俳句作りを支えてきた。今回の応募は1万句を優に超えている。
 その中から選ばれた優れた句がずらりと並ぶ。ただ、本書の特徴はそれだけではない。特に面白いのは、選考委員の選考会議における座談の模様がそのまま載っていることだ。優秀作品にも委員の好みや視点の相違があることが分かる。人それぞれなのだ。また、高校生へのひと言欄も素晴らしい。評者は、「言葉には意味のほかに風味がある」との指摘に震えた。青春真っただ中の高校生たちの詠んだ句を、好きなページを開いて味わってもらいたい。きっと見方が変わるはずだ。
(756円 発行 角川文化振興財団・発売 KADOKAWA)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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