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社会教育における防災教育の展開

16面記事

書評

野元 弘幸 編著
「犠牲者出さない」を前提に

 災害現場へ出向き、自分の目で、肌で感じなければ分からないことはあまりに多い。報道はほんの一部であり、切り取られたものにすぎない。
 想定外の自然災害に人間は無力と捉えがちだか、この執筆者たちは「ひとりの犠牲者も出さない事」を前提に、書き起こしていることが伝わる。キーワードは、「人々の知恵と協力の力で、ひとりの犠牲者も出さない」である。
 全員が災害現場に出向き、徹底した現地取材とデータ分析から説明している。失敗を二度とさせないという信念に貫かれた防災関連書として、他に類のない現場目線の具体的な内容になっている。
 「あなたは確実に起きる災害に、教師として、校長として、本当はおびえてはいないか」と、かつての自分を重ねて問いたい。子どもや顔見知りを、災害だから多少の犠牲は出るだろうと頭の隅で考えているあなたこそ、一刻も早く本書を読み、わが身に当てはめて、犠牲者を一人も出さないと言い切れる存在になっていただきたい。
 私は縁ある千葉県旭市・浦安市のページから読み始めた。また900世帯の町会の防災担当副会長も務めているが、知ったかぶりをしていた高慢さを猛省させられた。
 今こそ、本気で読んでほしい一冊である。
(3888円 大学教育出版)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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