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Q&Aでよくわかる 学校事故の防止と安全・防災対策の進め方

18面記事

書評

現代学校事務研究会 編
川崎 雅和 著
子どもの行動特性踏まえた改善策

 冒頭、日本スポーツ振興センターが医療費を給付した学校管理下の事故発生件数105万3962件(2016<平成28>年度)という数字を挙げ「学校事故の防止が、子どもたちの安全と安心を守る上で、最大の課題であることを示している」と指摘する。
 2008(平成20)年に刊行した「学校事故の防止と安全対策の進め方」に加筆・修正して、版を新たにした。この間、東日本大震災や大阪北部地震などが発生したため「防災」が加わり、「学校施設の安全追求」「活動場面ごとの事故防止を考える」「災害への備え」「安全点検と賠償責任」の4部に分け、総数42の「Q」に答える形で、構成した。
 安全・安心のために配慮すべき点への言及はきめ細かい。例えば、事故の多い校内の廊下。「遊びに起因する事故が起きるものだとの観念に立って、安全配慮を行うべき」。衝突事故が起きやすい曲がり角には姿見鏡を置き、右側通行を誘導するアイデアも示す。
 職員による安全・防災点検のマンネリを防ぐため、分担箇所を重複させ、別々の職員が二重チェックや、年に1~2回程度、職員と保護者代表で全校点検―などを提案する。
 なぜ安全・安心を妨げる事態が生じるのか、その反省を糧にしながら、学校が楽しい場所であれと改善策も提示できるのは、学校施設、そこに集う子ども、教員らの行動特性も客観視できる事務職員ならでは、である。
(2160円 学事出版)
(矢)

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