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あの子どもたちが変わった驚きの授業

14面記事

書評

授業崩壊を立て直すファシリテーション
木原 雅子 著
どう関わり変容引き出したのか

 本書を手に取って気になったのはファシリテーションという言葉。本書の読み手が、どれだけ日常語としてそれを身に付けているか、それが気になった。
 本書では、ファシリテーションのことを学校現場の文脈で表現し、「生徒が問題を解決できるように、さらには生徒が自分の目標を見つけそれに向かってうまく歩めるように、支援し関わること」とされている。
 WYSHファシリテーション技法とあるのも、本文221ページに解説があって初めて理解したという人も少なくないだろう。
 本書の帯にある「変われない子どもはいない!」「授業が成り立った! 問題が減った! 学習意欲が大きく上がった!!」という紹介文の分かりやすさ、親しみやすさは、ある種の計算された“手”ではないかと思ってしまうほどだ。
 本書は授業が成立しない学級を立て直した実践記録である。どのように準備し、どのように生徒たちに関わり、どのように自分自身を変えていったのか、その方法の中心となったものは何か、などを整理し述べている。木原雅子という研究者の“実践記録”だ。
 本書を手にする多くの人々は、日常になっている「自分の授業」を、氏の「実践記録」と重ね比べて、自分自身の授業を再検討することになるだろう。焦らず、じっくり活用したい本である。
(1944円 ミネルヴァ書房)
(関根 正明・元山形大学講師)

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