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教育と福祉の基本問題

14面記事

書評

人間と社会の明日を展望する
伊藤 良高 編著
共有・近接する課題の理解へ

 学校教育の経年変化の一つに、福祉分野との課題の共有を挙げることができる。例えば、子どもの相対的貧困の問題であり、児童虐待などの課題などが象徴的なものと言えようか。
 こうした現代的課題に対応するため、学校現場では、他機関とのネットワークの必要性や、スクールソーシャルワーカーの配置などが重視され、進められてもいる。
 本書の中でも触れられている「教育福祉」は、今のところ、福祉分野からのアプローチを主としたもののように見え、今後は、両者が融合した教職科目的なものが誕生してもよいのではないか。
 本書は、教育、福祉のそれぞれの基本問題を取り上げ、解説した。「第I部 人間形成における教育と福祉の理論」「第II部 現代における教育の基本問題」「第III部 現代における福祉の基本問題」で構成し、全27章を収めた。
 特に、学校教育関係者にとって、第Ⅲ部に掲載する各章は「ひとり親家庭の支援と課題」「地域における子育て支援と福祉コミュニティ形成」「地域での子どもの居場所支援活動の機能と今日的課題」など、近接する福祉の課題として知る格好の機会である。
 また、乳児保育、共同保育、保育士の役割と専門性、児童虐待対応など、保育現場の課題にも多く言及し、保育士にとっても有効なテキストになりそうだ。
(3240円 晃洋書房)
(吹)

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