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よい授業とは何か

12面記事

書評

川田 龍哉 著
先達の著作を通じて考える

 本書の書名は、教師にとってそれこそ永遠の課題である。ところが、この「よい授業」の具体的な内容になると、百花繚乱の論が並ぶので、困惑することが多い。
 本書の著者は教師ではない。長年、教育書籍、教育雑誌の編集者を務めてこられた方である。著者はこの編集を通じて出会った教師や教育研究者の主張を、十分に消化されて見解を示す。その上、各章で引用している本の著者名を各章の最後の注で紹介する。例えば第1章で登場する著者名を一部示すと次のようになる。
 林竹二氏、向山洋一氏、坪田耕三氏、中野重人氏、小原國芳氏、村井実氏、斎藤喜博氏…。
 本書は、人物を取り上げた日本授業史になっている。しかし、これらの人物を全く分からない教師が、この令和の時代にはいるに違いない。忙しい今の教師は、原典に当たるのは難しい。せめて本書で日本の学校教育に影響を与えた先達を知るといい。
 本書の終章の「巨人の肩に乗る」の一節。<よい授業を求めるときにも、自分がまったくの0から探究していくよりも、先人の肩に乗り、授業の地平線を遠くまで眺めるほうが、ずっと効率がよいのではないでしょうか>
 よい授業を希求するなら、この「巨人の肩に乗る」ことが最も大切なのである。
(2200円 学文社)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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