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菊池省三対談集「教育」を解き放つ

14面記事

書評

菊池 省三ほか 著
学校、教師に勇気与える一冊

 著者は本書の「はじめに」の中で、この対談集を振り返り「一地方の公立小学校の一教諭の実践が、広く社会や、学校教育以外の世界にも、普遍的な価値をもって通用していることを実感しています」と書いている。この思いを、教師なら共有したい。教師の仕事の価値や素晴らしさに誇りや自信を持てるようになるからである。
 例えばベストセラーの「里山資本主義」の著者である藻谷浩介氏との対談では、「世界に通用する日本人」という視点で、菊池実践の価値が示される。こうなると授業づくり(学校づくり)と地域の活性化の在り方がリンクし、ますます学校教育の重要性が理解できるようになる。
 本書では16人の方との対談が収録されている。その16人の方の顔ぶれ(例えば首長までいる)を見るにつけ、これからの学校は、ますます社会に開いていかなければならないと痛感する。
 学校が展開している教育活動は、これからの日本の在り方に貢献できる、魅力ある地位を与えられているのだ。嘆くのをやめて、教育にもっと夢を持ちたい。そういう夢を教えてくれる対談集になっている。評者は面白く、最後まで一気に通読できた。学校や教師の実践に勇気を与える良書である。
(2200円 中村堂)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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