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追いついた近代 消えた近代 戦後日本の自己像と教育

12面記事

書評

苅谷 剛彦 著
迷走する社会と教育の原点に迫る

 “戦後日本の自己像と教育”の副題の本書は、全7章の構成で約360ページの大冊。まず、内容に目を向けよう。第一章が「『近代化論』―その受容と変容」、続く第二章が「『追いつき型近代』の認識」。「臨時教育審議会の近代」(第三章)と第四章は「高等教育政策―二○○○年代の迷走」。「教育研究言説の『近代』」(第五章)と、第六章が「経済と教育の『近代』」。そして、第七章が、「外在する『近代』の消失と日本の迷走」―で結びとなる。
 著者(社会学・教育社会学)は、東京大学教授から2008(平成20)年にオックスフォード大学教授に転じた人。迷走する日本社会と教育の原点に迫る待望の一冊。“近代化と教育”から見える日本の宿痾(長い間苦しみ続けている病気)であったか。西欧に追いつき、追い越すことが課題であった日本。明治以降の近代化と敗戦を経て“追いつき型近代”を達成したわが国は、どのような自己像を持ち、社会の変化にどう対応してきたか。教育政策を、過去と未来をつなぐ結節点と捉えた著者は、さまざまな政策文書や研究者等の言説をひもといて、現在の“迷走”につながる問題の原点をえぐり出してくれる。
 巻末に、「関連年表」が付けられているが、迷走を論じる大冊を読み通すとき、特段重宝する。
(3630円 岩波書店)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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