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その苦しみは続かない 盲目の先生 命の授業

12面記事

書評

竹内 昌彦 著
体験基に国内外で社会貢献活動

 網膜剥離により視力を失い、当時の岡山県立岡山盲学校から東京教育大学盲学校教員養成課程へと進み、卒業後、盲学校に、今度は教員として赴任。教頭として勇退した著者の、その後も含めた足跡を著した。
 例えば、子ども時代。小学校2年時の担任の先生は視力の乏しい著者の存在をクラスメートに知らせ、黒板の文字を見るには、どの席が一番適しているかを子どもたちに考えさせる。著者に親切に接する級友を大げさに褒める。「島村先生は、子どもたちに『いじめはいけない』とは言わなかった。しかし先生の姿勢が、60人のクラスメートに対し、何が正しいことで、何が人として恥ずかしい行為かということを、あっという間に教え込んだ」
 専攻科在学中には、東京五輪後のパラリンピックで2種目の岡山県代表となり、「盲人卓球」で金メダルを取る。大学卒業後は、その母校へ戻り、同僚にも恵まれ、駅前の「コーヒー研修会」で鍛えられる。
 障害者理解を深めようとする時代の追い風に、在職中から各地で講演活動を展開。その後の社会貢献活動につながっていく。点字ブロック発祥の岡山の地に記念碑建立のため奔走し、モンゴルでの盲学校開校にも尽力した。手術を受ければ視力を回復できる海外の子どもを援助しようと「NPO法人ヒカリカナタ基金」を設立するなど、自身の体験が生きる。子どもたちにも、ぜひ読んでもらいたい。
(1540円 朝日新聞出版)
(吹)

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