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コミュニケーションがうまくとれる校長、とれない校長

14面記事

書評

教職員、児童・生徒、保護者・地域、教育委員会等と上手につきあう方法
吉田 和夫 著
子の意欲、学校力高める方向性を根幹に

 職種の多様化する中での「チーム学校」、地域の人々との協働なども学校経営上の課題となって、管理職のコミュニケーション能力が問われる場面が多くなった。本書が重要キーワードとする「コミュニケーション・ストラテジー」(戦略的会話術)は、その中核をなすスキルと言えよう。
 教職員や児童・生徒、保護者・地域、教育委員会・関係機関などとのコミュニケーションがうまくいく方法を、第2章から第5章までに22事例を収め、解説していく。
 やる気のない教員が職員室の雰囲気を暗くしている、新たに赴任してきたスクールカウンセラーが教職員、児童・生徒とうまくいっていない、学級担任であり部活顧問である教員への保護者の不満がうっ積している、やりたい周年行事と教育委員会の方針が合わない…。よくありがちな学校風景を事例に、その時にどうすればいいかを、「状況の分析・把握」を冷静にした上で、「コミュニケーション・ストラテジー」として対策を提示する。
 根幹にあるのは「児童・生徒の意欲や学校力を高めるベクトル(方向性)」であり、方向性に沿った解決策を示すことが、いわゆる説明責任を果たすということでもあるのだろう。
 解決に至る道筋では、直接的な対話も欠かせない。“コミュ力”は「人間関係形成力」と本書が指摘する通りだろう。その方法を本書は伝授してくれる。
(1980円 学事出版)
(徳)

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