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読み聞かせで発達支援 絵本でひらく心とことば

13面記事

書評

本と子どもの発達を考える会 著
絵本の力を最大限引き出す工夫満載

 本書を読み終えて、いざ書評に取り掛かろうと思ったものの、帯紙に書かれた案内文以上の紹介ができるか不安になった。本当にこの通りの本なのである。やむを得ず、それらに付け加えることで責めをふさぐことにする。
 帯紙は言う。「絵本には子どもの発達を助ける力がある」と。それだけではない。「絵本には大人の心を和ませ感動を与える力もある」と思っている。本書で紹介されている絵本を何冊か読んできたが、読むたびに心洗われる思いに至ったことを思い出すのだ。
 続いて言う。本書は「絵本の読み方実践書、だから子どもの心に届く工夫がいっぱい」だと。その通り、絵本の力を最大限に引き出す工夫が満載されている。例えば、対象とする子どもの状況(乳幼児期にはこんな本が、ことばを育てるにはこんな本がというように)によって適当な絵本が提示される。
 加えて、実践事例や感想がコラムとして紹介されており、ほのぼの感が伝わってくる。著者の方々自身が子どもたちから多くのことを学び取ろうとしているからだろう。実践から生み出された、絵本のタイプ分けや狙い・お勧めの使用場面などの例示もありがたい。これから実践したいと思う方の力になる。
 「本はすべての子に効く処方箋」「困ったことがあったら本が手助けしてくれるよ」。あとがきのこの言葉通りの本書だった。
(1980円 かもがわ出版)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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