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「聴く力」をみがきキャッチングに卓越した教師になる

12面記事

書評

前田 勝洋 著
子どもに寄り添い育む知恵とワザ

 本書のプロローグのタイトルは、「『話すこと』よりも『聴くこと』に軸足を置く」である。校長退職後も請われるまま、「学校行脚」を続けている著者らから生まれたこの主張は、本書を読んでいくと、多くの方が共感するに違いない。
 現場にはさまざまな課題が求められ、多忙化している現実は理解できる。しかし、どんなに弁解しても、「子どもや生徒の成長に積極的にかかわろうとする(寄り添う)実践活動」がなければ、教育成果は上がらないのである。
 このために「聴く」という教師の営為の価値を、本書から読者は学ばなければならない。
 本書の章編成のタイトルを引用するだけで、学ぶことが多々ある。
 I新任教師との「勉強会」から見つけた知恵とワザ、II「聴く」という教師の振る舞い方を考える、III「個」としての子どもに向き合う教師の精進を、IV「聴くこと」に徹したリーダーとしての教師の精進―このタイトルに即して、具体的な知恵とワザが書かれ、実に読みやすい。
 すぐに明日からの実践に役立つ情報が満載である。
 例えば「雑談が気安くできる職場づくり」という主張などは、傾聴に値する。もちろん、このためには、校長自身が上位下達の意識を改革していかなければならない。
(1760円 黎明書房)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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