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生徒も教師も楽しめる問いづくりの実践 学びが変わる問いのフレームワーク

20面記事

書評

柞磨 昭孝 著
探究にいざなう「問い」が授業を変える

 「深い学び」を実現する授業改善のキーポイントの一つが「問い」である。
 著者は高校の校長時代からトーク&チョークと揶揄される授業を能動的な生徒の学びに変えていくため、「問いづくり」を研究し、本紙にも「問いが高める学びの質―生徒の主体性を引き出すために―」を連載している。
 本書はこうした蓄積を基に「問いづくり」の要諦、「問いの構造化」を提起しながら、授業デザインの在り方までを展望した。「問い」に主眼を置いた授業改善のための解説書だ。
 導入段階の問いから展開、洞察段階の問いを経て本質的な問いなどの代表的な問いの意味をかみ砕き、さらにICEモデルと呼ばれる「知識の習得」(Ideas)、「知識の適用」(Connections)、「知識の活用」(Extensions)のフレームを組み合わせ、問いの構造化を図る。
 単元や目標に応じて、生徒たちを探究にいざなう「問い」を主にした授業デザインの在り方を提案する。随所に各地の高校教員らが考え抜いた問いも含め、さまざまな教科での問いの例を示し、授業づくりのヒントになる。
 生徒の脳に汗をかいてもらう授業づくりには、教師自身が本質的な問いを考え抜いてつくることが欠かせないことを教えてくれる。本のタイトルにある「楽しめる」とは「考える」喜びのことだと受け止めた。
(1540円 発行 日本橋出版、発売 星雲社)
(矢)

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