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今こそ日本の学校に!イエナプラン実践ガイドブック

16面記事

書評

リヒテルズ直子 著
「子ども中心の共同体」ビジョンと活動紹介

 ドイツで生まれ、オランダで普及したイエナプラン教育。本書で強調されている、メソッド(方法)ではなくビジョンであることを理解するために、まず理論編を熟読したい。
 オランダでイエナプランの教育理念を「8つのミニマム」などで表したことを紹介。障害の有無だけでなく、両性、階層、宗派、才能の有無を含めた「インクルーシブな思考に向けた養育」、子ども中心の共同体を目指す「学校の現実の人間化と民主化」など、立ち返るべき「ミニマム」などを理解できると、実践編で示される活動への理解が深まる。
 科目別の時間割を廃止し、年齢の異なる子どもたちに教師(グループ・リーダー)を加えた「ファミリー・グループ」(異年齢学級)、1日3回全員が顔をそろえた「サークル対話」、必要な知識を自立的に学ぶ「ブロックアワー」、時間割の一部に位置付ける「遊び」、主体的・対話的な学び「協働学習」などが日課に盛り込まれる。イエナプランのハート(心臓)部分に当たるワールドオリエンテーション(総合学習)は日本の総合的な学習の時間に近い。これらの実践は日本の優れた教育活動に重なる部分もある。
 学校ごとの自由裁量権の大きさや、資格化されているイエナプラン専門教員の存在など国情の違いはあるが、そのビジョン、哲学が共有できれば、日本の教育を見つめ直す視点を獲得できるのではないか。
(2420円 教育開発研究所)
(矢)

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