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学び合いで授業をアップデート AI時代の国語授業のつくり方

14面記事

書評

細川 太輔 著
何を変えるべきか具体的に解説

 子どもたちが活躍する未来は、Society5・0が実現し、今以上にAI時代が本格化しているのだろう。本書の表紙のコピーは「『今』の授業をすこしだけ変えて『未来の力』にする方法!」。そう、本書は、未来に生きる子どもたちに必要な資質・能力を育む国語授業をつくる指南書である。学習指導要領が変わった、それに伴い教科書も変わった。でも授業の姿は変わらないままというわけにはいかない。では何をどう変えるのか。
 本書は、序章他全5章で構成されている。序章でAI時代に必要な力をずばり五つ取り上げ各章で詳述。さらに、各章に10のテーマを項立て。つまりAI時代の国語授業のつくり方が50示されている。加えて各章には授業例が挙げられ具体的に解説。これまでとこれからで何が違っているべきかBEFORE・AFTERで示され、捉えやすい。親しみやすいイラストも効果的。「1回は困らせよう」という項がある。大胆な切り口で授業改善に迫る。子どもたちが悩み考え試行錯誤して解決する過程で、本気で学びに向かい、学びが本物になる姿が見えてくる。
 著者は東京学芸大学准教授だが、小学校教員の経験を持たれている。その経験が随所に見られ、言葉にリアリティーを感じる。現場で活躍する先生たち待望の書。新しい時代を生きる子どもたちに確かな言葉の力を育む授業づくりのために必携の一冊だ。
(2090円 学陽書房)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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