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2020年以降の高等教育政策を考える グランドデザイン答申を受けて

14面記事

書評

大槻 達也・小林 雅之・小松 親次郎 編著
2040年を生きる人材の育成とは

 平成30年11月の中央教育審議会答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」を受け、桜美林大学が企画、開催したシンポジウム「2020年以降の高等教育政策を考える」の内容を基に本書は編まれた。編著者らは開催時、同大学大学院教授である。
 戦後高等教育政策の展開と今後の論点、これまでの高等教育政策の流れの中での答申の読み方や今後の課題を明らかにし、国立大学、私立大学、産業界などの立場から答申をどう受け止め取り組んでいくかなども提案され、向かうべき道筋への理解を助ける。
 「グランドデザイン答申」は、答申年に誕生した子どもたちが大学の学部段階を卒業する「2040年」を想定し、必要とされる人材、その育成のため高等教育が目指すべき姿、実現するための方策を提言したものだ。
 答申では「予測不可能な時代を生きる人材像」を「普遍的な知識・理解と汎用的技能を文理横断的に身に付けていく」「時代の変化に合わせて積極的に社会を支え、論理的思考力を持って社会を改善していく資質を有する人材」と描いた。
 「2030年」の社会を生きる子どもたちを育てる初等中等教育の延長線上にあることは言うまでもない。高等教育へと進むプロセスで人材育成を担う、高校以下の学校教育関係者にもぜひ目を通してもらいたい。
(3960円 発行 桜美林大学出版会、発売 論創社)
(矢)

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