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一刀両断 実践者の視点から【第52回】  

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論説・コラム

オリンピックと道徳
 
 オリンピックの名勝負に感動が広がる。勝敗はつくものの、勝者にもまして敗者の潔さが印象に残るものである。再挑戦のスタートとする者、違う分野へと歩みを進める者がいる。勝者は追われる身となる試練が押し寄せる。
 いずれにしてもその立ち居振舞いが美しくあって欲しい。マナー違反や敗者を責める振る舞いが見られる。呆れてしまう。
 学問的に、道徳の歴史は日本よりも古く日本の先を行っている国がある。そうした国の人々が非道徳的な挑発を繰り返すとしたら、いかに論語や儒教が素晴らしかろうが、教える側の思想によって利用されてしまうこととなる。上部だけの宗教や道徳として利用されてしまうということである。
 このオリンピックが残すものには様々なものがあるだろう。その一つは、批判のための批判をして我田引水の輩を見破ることかもしれない。そして、和合へと導く諦めない対話の必要性を決意することかもしれない。オリンピックが目的とするのは手段を越えた向こうにある、争いを越えた地球市民の笑顔なのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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