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一刀両断 実践者の視点から【第67回】

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論説・コラム

進言した校長への処分

 市長、教育長に進言した校長に対して、見せしめのように文書訓告をした対応についてかなり注目を集めている。
 もっと注目されるべきであり、曖昧にしてはならない。何故ならこの校長の進言は内容からして当然の事であるからだ。ここで一番指摘したいのは、市長は論外として、教育長の資質と、「どっちを向いているのか?」ということである。市長に物申せない教育長であっては、教育者ではなく、単なる施行役人に過ぎないことになる。専門家であり権限を行使して体を張る気概がない人物に見えてしまう。
 市長も教育長も校長も雇い主は同じ市民である。その市民が一番納得できる最善の対応をすべきであるのに、権力に反発したとして見せしめにしてしまった。処分をめぐって揉めた時に言い訳ができる体のいい文書訓告にした嫌らしさからも体質がよく分かる。
 本来ならば、この意見を真摯に受け止めて調査をして対処すべきものであるが、混乱させたと曖昧な理由にして居る。まるで封建社会の時代劇でも見るような時代錯誤も甚だしい処罰が容認された事になる。
 領主に農民が意見を言った場合は、義民と称された佐倉惣五郎の振る舞いに重ねて、直訴により家族全てが処刑されると言った体質をこの市はいまだに持っている事になるような事例である。雇い主の市民さらに教員や校長会がどう行動するかを注視したい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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